《MUMEI》

「──すいません、すっかり時間食っちゃって‥、?」

戻って来た保健の先生。

一瞬固まってから、

「‥ぁ、お邪魔でしたか」

いそいそとまた出て行こうとした。

「ぁ‥あのっ、これは、ち‥違いますからねっ?」

「佐原さん‥?」

「ちょ‥ちょっと、成り行き‥で‥」

まさか、

保健室で抱き合ってたなんて事が他の人達にバレたら‥

大変な事になるし‥。

「ほんっとーに、違いますから‥」

「──ふふっ」

「ぇ」

「分かってるわよ、誰にも言わないわ」

「ぇ?」

訊き返しても、

保健の先生は、

ただニコニコしてるだけだった。

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