《MUMEI》

「ごめん、散歩はまた明日連れてってやるから──」

「そうじゃない」

「?」

「何で返事してくれないの?」





那加は、

俺がボーッとしていた事には気付いてないらしい。





「ねぇ日向」

「ぇ」

「あたしの事‥」

「ぇ」

「何でもないっ」





そう言うなり、

那加は布団を被って背中を向けてしまった。





「那加‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「───────」





俺は、

ちょっとした悪戯のつもりで──

バッ、

と布団を、

那加から剥した。





「きゃッ!! ちょっと何するのよ!?」





那加は真っ赤になって、

叫んだ。

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