《MUMEI》

「ふぁ──‥」

やっと授業終わった‥。

「‥ぁ」

屋上行かなきゃ。

先生もう先に着いてるかな‥。

階段を上がりながら、

だんだんドキドキしてきた。

重たい扉を、

開ける。

眩しい、

陽の光と、

空の色。

その下に、

先生はいて──

あたしが来たって気付くなり、

にぱっ、

と笑顔を見せた。

「よう、来たな佐原」

9つも年上だなんて、

思えない。

「ほら、こっち来て座れよ」

先生は、

自分の隣りを示した。

「ぁ‥、うん」

あたしは緊張しながら、

ゆっくりと近付いた。

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