《MUMEI》 「いいもん見せてやろーと思って」 「いい物?」 何でしょう──。 「オイ、こっちだこっち」 「ハイっ──」 林檎君に言われて近付いてみると、一本の木の前に着きました。 「これ──」 「ほら、蕾付いてんだろ」 「ぁ、ハイ、付いてます」 「で、あっちのヤツ見えっか」 「ぇ?」 あっちの‥? よーく目を凝らしてみると。 「ぁ‥」 咲いてますっ。 1つだけ花が咲いてます♪ 「わぁーっ‥」 「オマエみてーだよな」 「ぇ?」 「あの桜」 珍しく遠くを見るような目をして、林檎君は呟きました。 前へ |次へ |
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