《MUMEI》 「ねぇ、ほんとにいいの‥?」 「何がだ?」 「一緒に──」 「おう、祖母ちゃんも楽しみにしてるからさ」 「詠子さんも‥?」 「ぁぁ」 先生はまるで、 遠足を待ち切れない小学生みたいな顔をしてる。 「俺、祖母ちゃん家に行くの久し振りでさ──」 「そうなの?」 「電話は毎日してるんだけどな」 「電話──」 そういえば、 詠子さん言ってたっけ。 先生が毎日、 あたしの事を話してるって。 「佐原さ、古文とかって──」 「ぅ‥」 苦手。 ‥かなり。 「祖母ちゃんな、昔──古典の先生やってたんだ」 前へ |次へ |
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