《MUMEI》

「で、具体的にどうすればいいんだ?」
ユウゴはケンイチを無視して話を続けた。
ケンイチはさらに不服そうな表情で「無視すんなよな」と一人呟いている。
「そうだな。とりあえず、あいつらの情報を手にいれないといけないだろうな」
織田は顎に手をあてながら答えた。
「情報か……」
呟きながらユウゴは考え込む。
最初のうちは相手が出入りする建物を見張り、行動を監視していた。しかし、今となってはその手は通じないだろう。
最初の頃に比べて警備は厳重、さらに追っ手の数は増えている。
「パソコンは使えるか?」
「いや」
ユウゴは首を横に振った。
パソコンはレポートを作ったり、ただネットを見るだけにしか使っていなかった。
知識はほとんどないに等しい。
するとケンイチは馬鹿にしたように笑った。
「だっせ。いまどきパソコン使えないなんてありえねえ」
「おまえは使えるのかよ」
ユウゴに問われ、ケンイチは「使えたら織田がおまえに聞くわけないだろ」とさらに馬鹿にしたような笑い声をあげた。
ユウゴは大きくため息をつく。

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