《MUMEI》

「‥治まったか‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥」





那加は無言で、

頷いた。





俺が離れようとすると、

グイッ、

と腕を掴まれた。





「那‥加‥?」

「離れないで」





小さくても、

ハッキリ聞こえる声だった。





「分かった」





俺はまた、

後ろから那加を抱き締めてやる。





鼓動が、

響いてくる。





──静かな病室に、

2人きり。





何か、

ドキドキさせられるのは‥

俺だけ‥?





「日向」

「ん」

「‥何でもない」





那加は、

それ以上は何も言わなかった。

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