《MUMEI》

「ぇ、詠子さん古典の先生だったの?」

「ぁぁ、昔の話だけど──だから時々、教えてもらってたりしてさ」

「へぇ‥」

文学一家‥。

「ん?」

「ううんっ、何でも‥」

凄いな──。

「佐原って──いっつも独りでテスト勉強してたのか?」

「うん──‥」

「大変だなぁ」

「その方がやりやすかったし」

「そうなのか?」

「友達とかとだと、つい遊んじゃうしさ」

「ぁー、オレもそうだったなぁ」

懐かしそうに、

先生は目を細めた。

「またやりたいなぁ、高校生──」

「ぇ?」

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