《MUMEI》
エピローグ
4月──学校の屋上で。

「──オイ」

「はい?」

「リボン」

「ふぇ‥」

また曲がってましたか‥。

「ありがとございます──」

「‥オマエ、そろそろやめてもいーんじゃねーか、その口調」

「ぇ?」

「そのですます口調」

「ぇ、でも──‥」

「何だよ」

「〜〜〜〜〜〜‥」

まだ恥ずかしいですよ‥。

「ぁ‥?」

「!!」

な‥何で凄むんですか‥。

「凄んでねーし」

「ハイっ‥」

私が林檎君とタメ口でお喋り出来るようになるのは──もう少し先になりそうです。

それまでは、このままで通そうかな、って。

「未桜」

「はい?」

「リンゴ寄越せ」

「ハイっ♪」

やっぱり──林檎君といると楽しいです。

林檎君も、そうだといいですが──。

「決まってんだろ」

「ぇ?」

「オマエと同じだっつってんだよ」

「ほんとですかっ?」

「嘘ついてどーすんだよ」

「ほわぁ‥」

嬉しいですっ。

「お礼にもう1コあげちゃいます♪」

「いらね」

「ダメです〜っ、食べて下さい」

「‥ち、分かったよ」


「ありがとございます♪」

こんな毎日が、ずっとつづいたらいいなぁ、なんて──つい、そんな事を思ってしまったり。

「未桜」

「はい?」

「やっぱりもう1コ寄越せ」

「ハイ、分かりました♪」





私には、ちょっと変わった彼氏がいます。

彼、不良系王子なんです。

不良系、っていってもただ、すっごく照れ屋さんなだけなんですけどね──。

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