《MUMEI》

なんとなく聞こえたのは・・・


「悠斗さんはお前の兄貴だろ?だったらちゃんと話聞いてやれよ」


だった。




――話?今更何の話を聞けって言うのよ。散々裏切ってきたくせに・・・。



私はふと、手首の傷痕を見た。


これも悠斗が原因。


あいつさえいなければ、こんなことにはならなかった。


全部あいつのせい。


存在を消したかった人間・・・。


憎んだ人間・・・。


私の人生を変えた人間・・・。

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