《MUMEI》

病院の自動ドアから、

外に出た。





真っ先に、

路上に走る。





「いない‥」

「ひなたぁ!」

「‥?」





振り向いた、

その先に。





那加は、

いた。





「どこ行くの?」





那加は、

不安げな眼差しを向けてきた。





「置いてかないで」





訴えるように、

言う。





「置いてかないでよ‥」





今にも泣きそうな顔をして言ったから、

俺は駆け寄って肩に手を置いた。






「置いてく訳ないだろ‥? 捜してただけだ」

「誰を‥?」

「那加の事」

「──あたし‥?」

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