《MUMEI》

「悪い、何か言ったか‥?」

「‥ううん、ただぼんやりしてたみたいだから‥どうしたのかなぁって」

「──してやるから」

「ぇ?」

「してやるから、何でも。だから遠慮──」

「する訳ないじゃん」





悪戯っぽい、

笑み。





惑わされるな、

俺‥。





「日向はあたしの召使、でしょ?」

「──ハイ、姫サマ」





やっぱり、

勝てない。





この笑顔には──‥。





「ねぇ、風‥吹かないかな」

「風‥?」

「吹かせてよ」

「‥!?」





あの‥

流石にそれは無理かと存じますが、

姫サマ‥。

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