《MUMEI》 「篝!死んだのか?」 アラタが窓から怒鳴る。 「神は何処にいるか知ってるか?統合したんだよ! もぉぉう、どうして、どうして! ……俺をこれ以上惑わせるなよ! 悪魔が!」 アラタは包帯が巻かれた左目をぐちゃぐちゃに擦った。 息遣いが荒い。 紅蓮が近くから汲んだ水を渡す。 「要らない、得体の知れないもの勧めないで。」 紅蓮の腕が振り払われた。床に零れた水を紅蓮は黙々と拭き始める。 「お許しを、あの言葉を聞いた気がして…… ええ、幻だったんです。」 篝の弱々しい声。 窓を覗くと真下に篝の腕が見えた。 「はは、あははは…… 幻?痛ましい脆弱な猫だ」 アラタの指から崩れ落ちる白い包帯。 舌から生み落とされる蔑みの言葉たち。 泣いているように見えた。 前へ |次へ |
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