《MUMEI》

ひたすら唸る、

先生。

「思い付かないもんだなぁ‥意外と‥」

「でしょ?」

「ぁぁ」

そう言ってから、

「ほら、あそこが祖母ちゃん家だ」

瓦屋根の小さな家を指差した。

「あれが──」

詠子さんの家‥。

近付いてみると、

門に打ち付けられた表札には、

確かに──

【春日井】

そう書かれてある。

「───────」

緊張するなぁ‥。

「どうした?」

「ううん」

「──よし、入るとしますかぁ」

先生は、

早速インターホンを鳴らした。

中から返事が返ってきたのは、

それからすぐの事だった。

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