《MUMEI》

「ホント!?」

ルキアの顔は一気にパァッと明るくなる。首尾は上々だ。

ああ、と肯定しながらヴァンは、単純で助かる、と思っていた。当然そんなことにルキアが気付く筈もなく、とても嬉しそうにしながら何を買ってきてもらうかを考えているようだ。

どうやら決まったようだ。ルキアは、じゃあ、と切り出した。

「新しい服欲しい〜! フリフリしたやつ〜!」

そんなものを買ってくるのは若干、いや大分気恥ずかしいが、自分から買うと言った以上買わない訳にはいかない。ヴァンは少し後悔し始めた。

そしてルキアの二の句を聞いて、もう二度と安易な逃げに走るまいと誓った。

「あと、下着も欲しいな〜。」

……お前は、こんな大の男に、一人で、女性用の下着売り場に行けと……?

ヴァンは久々に命の危険を感じつつ、取り敢えず了承しておいた。

後々大変そうだがこれで本題に戻ることが出来る。ヴァンはディンに向き直った。

「身内が失礼。では話の続きを……? おい、どうした……!」

ディンは驚いた表情のまま硬直していた。どうやらまだ面倒は続きそうだ。

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