《MUMEI》

「──いらっしゃい、2人共。よく来たねぇ」

穏やかな口調で言って、

詠子さんはあたし達を中に入れてくれた。

客間に通されて、

卓袱台の前に置かれた座布団に座る。

正座、

って‥

あんまりした事ないからちょっとキツい‥。

「あまり良い物ではないけれど、良かったら──」

そう言って詠子さんは、

お茶とお煎餅を出してくれた。

「ありがとうねぇ、忙しいのにわざわざ──」

「ぃ‥いえっ、ととッ‥とんでもないです」

呼んでもらったんだから──。

「ていうかスイマセン、お邪魔して‥」

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