《MUMEI》

秀皇大附属の攻撃。


セットプレーからの展開であったが、


素早い動きからのパス回しにポジションチェンジを取り入れるプレーは、


強豪校を意識させた。


「寄れ!!
間抜かせんな!!」


いつ抜かれてもおかしくない状況に、


不安を覚える赤高ベンチ。


思わず翔太が声を挙げた。


「くっ…!!」


しかしその声も虚しく、


相手の45に関谷と峰田の間を攻められ、


関谷が寄った為に空いたスペースから、


サイドシュートを打たれる。


「ナイッシュー!!」


1対1。


「わり。」


「…ま、
今のはしゃ〜ないな。」


「気にしないで!!
取り返しましょう!!」


赤高ボール。














「…まだまだだな。」


クロたちの後ろから、


猪狩が声を出す。


「わかってるね。


さすが猪狩。


うちはディフェンスに関しては村木に頼ってる部分が大きいからね。」


「…あいつらじゃ無理だ。


秀皇の方が何枚か上手みたいだ。


これは負けるな。」


「…確かに。


向こうの方がレベルは高いみたいだね。


でもさ、」


「…?」


「…力の差をひっくり返す為の策を考えるのが、


僕の仕事だよ。」

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