《MUMEI》

アルフレッドの仕事。
知らない男や女の前で、足を開き喘ぐ仕事。
いつからしてるかなんて、知らない。俺が会ったときには、もうしてた。
俺の仕事は、アルフに客を紹介する仕事。
俺たちがいる組織は、かなり大きい。


「・・・ま、今日はいいんじゃね?」
「マジで!?じゃ、じゃあさ・・・っ?」


アルフの頭をなでる。可愛い俺の恋人。
俺はきっと、こいつに本気なんだろう。
こいつの上を、誰が通り抜けたか、気になるのだから。


でも、止めろなんて、言ってやれない。


「・・・どした?」
「・・・別に。」


アルフは、首を傾げて笑った。


「・・・変なの。」


アルフは、またふわふわと歩きだした。


「あ。そうだ・・・。」


アルフが、ポケットから一枚の写真を取り出す。


「リチャード、この女、しってる?」


写真の中の女は、くすんだ茶髪だった。
あまり、美人ではない眼鏡の女。


「・・・だれだ?」
「サマンサ、殺した奴。俺、こいつ、どっかでみたんだよね。だから、一枚失敬してきた。」


どこから見ても、知らない女だ。


「客じゃないのか?」
「うーん、なんか違う。でも、リチャードも知らないなら、人違いか。」


そう言って、アルフは写真を破り捨てた。ヒラヒラと、破片が舞う。


「さ、帰ろうぜ。今日は、いやなもん見たから、慰めてよ?」


いっぱい愛してよ。
唇でそう言って、アルフは笑った。


俺のアルフ。
そう考えるのも、間違いかも知れないけど。
確かに、アルフは俺が好きだ。
俺は、アルフが好きだ。


「・・・分かったよ。」


俺の綺麗なアルフは、悪意のように、天使のように、微笑んだ。

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