《MUMEI》

「ぁ、そうだったの──それでいなかったのね」

「すいません‥」

「謝る事ないわよ、むしろ──那加ちゃんの気晴しになったんなら良かったわ」





佳代子さんは、

那加の朝食を並べながら笑顔で言った。





「夜桜も綺麗よね──」

「桜吹雪が起きたの。日向が見せてくれたんだよっ」

「日向君が‥?」

「うんっ、──ね、日向?」

「ぇ、っと──」





今更、

ただの偶然だった──

なんて言えないしな‥。





「凄いわね〜日向君」

「ぁ、ども‥」





佳代子さん──

流石だ。

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