《MUMEI》 明枝、危機一髪!明枝は手足に力を入れた。ダメだ。力では到底勝てない。 「離せ!」 「そういう生意気な態度取るとねえ、いじめちゃうよん」 「黙れド変態!」 睨む明枝。しかしドエス魔人はじわりじわりと攻めていく。 「お嬢。女の子にとって手足を拘束されて無抵抗って状態が、どれほど危険なことか。わかってないみたいね」 「うるさい黙れボケナス!」 魔人はなぜか嬉しそうだ。 「強気もいいけどお嬢。こういう意地悪されたらどうするつもり?」 ドエス魔人の両手が脇に来た。 「コチョコチョコチョコチョコチョコチョ」 「きゃははははは、やめろ、バカ、やははははは…」 明枝は涙を流して悶えた。 「卑怯だぞ、やははは、やめ、あははははは、きゃははははは…」 人間業ではない。普通のくすぐりとは違う。確実にツボを集中攻撃されたらどうにもならない。 「やめろ、やめははははは、やははははは…」 明枝は真っ赤な顔をして暴れた。息ができない。 魔人は一旦やめた。明枝は荒い息を必死に整えた。 「これで少しは自分の立場がわかった?」 しかし明枝は魔人を睨みつけた。 「貴様、地獄に堕ちるぞ」 「そういう生意気言うと辱めるよ」 明枝は黙った。いちばん恐れていることだ。あまり刺激しないほうがいい。意地悪されたら困る。 「お嬢。天国と地獄を同時に味わいたい?」 明枝は唇を結んで俯いた。 「ぎひひひ。まずは生まれたままの姿になってもらうよん」 明枝はもがいた。 「待て、やめろ!」 「やめないよん」 五本目の舌が躍る。明枝の黒装束を縦に切り裂いた。 「やめろ!」 まさか。あっさり全部脱がされてしまった。 「悔しい!」 明枝は赤面して暴れた。 「これで済むと思ったら大間違いよん」 ドエス魔人はいつもより過激だ。五本目の舌は情け容赦なく明枝の秘密の花園を直撃。 「バカ、やめろ!」 無慈悲にも弱点を攻めまくる。 「あああん!」 明枝は本気で慌てた。 「やめろ、やめろう!」 「やめてほしいときは、やめて、でしょう?」 「くううう!」 こればかりは歯を食いしばっても耐えられるものではない。急所を押さえられてしまったらどうにもならない。 「あ、あああ、あああん、ダメだ、どうしよう…」 落とされてしまう。明枝は弱気な顔で叫んだ。 「ちょっとやめなさいよ!」 「トドメ刺してあげる」 「あああん、わかった、ちょっと待って、待って!」 待っては哀願に近い。ドエス魔人は一旦攻撃をやめた。 「お嬢。待っては哀願?」 明枝は無言でドエス魔人を見すえた。哀願ではないと答えれば攻撃を再開されてしまう。 「待っては哀願?」 怪しい笑顔で迫る。明枝は、口を開いた。 「違うわ」 「じゃあ、こういうところ攻めちゃうよ」 「あん!」 明枝の目が泳いだ。そこはいくら何でも攻められたら困る。 「ちょっと待って!」 無理だ。耐えられない。明枝は意地を捨てて腰をくねらせた。 「待って、待ってえ!」真っ赤な顔で叫ぶ。 「だーめ」 「あああ、あああ!」 「やめろドエス魔人!」 「ん?」 完練英雄だ。 「おおお、また貴様かあ。なにゆえ僕のライフワークを邪魔するかあ!」 「何がライフワークだバカモン!」 ドエス魔人は、半失神の明枝を静かに寝かせると、完練に言った。 「そういえば随分登場するのが遅かったではないか」 「うるさい」 「さてはお嬢が困り果てる姿を見て楽しんでたね?」 「貴様と一緒にするな!」 「その慌てぶりは図星だったあ?」 「慌ててなどいない!」 魔人はなおも心理戦で攻める。 「君も女の子の慌てふためく表情に美の追求を感じるでしょう?」 「おまえはアホか!」 動揺する完練に、明枝が疑惑の眼差しを向けている。 「まずい…」 完練はいきなり走った。 「おめえを倒して汚名返上!」 「おっと…」 ダジャレで魔人が滑ったところを。 「シャラップドロップキック!」 前へ |次へ |
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