《MUMEI》

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身寄りも行く宛ても無い加奈子は、直美が住むアパートに、暫く身を寄せることになった。



そこは川崎にある、築30年は経とうかという、6畳ひと間の古びた木造アパートだった。



私鉄の線路脇に建つそのアパートは、かろうじて雨風をしのげる程度の粗末な建物だったが、塀の中を経験した人間にとっては、この上ない安住の地だった。



それよりも加奈子はまた直美と一緒に過ごせることが何よりも嬉しく…



また直美も快く"妹"を迎え入れた…。



そして…



『お前が加奈子か!?…話は直美から聞いてるよ…』



そこには直美の新しい男…"猪俣"の姿もあった。

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