《MUMEI》 「ぁぁ‥、ここの売店には売ってなくて──」 「ふーん‥それで遅かったの」 悪びれた感じにそう呟いて、 那加はスプーンでプリンをつつく。 その様子を眺めながら、 俺は少しだけ複雑な気持ちがしていた。 那加は、 このままずっと‥ ここにいたい訳じゃない。 でも、 まだ那加の心の傷が癒えるまでには‥ たぶん長い時間がかかると思う。 俺は、 那加に何をしてやれるだろう‥? どうやったら、 那加を楽にしてやれるだろう‥? 「ひなた?」 「──那加」 「何‥?」 前へ |次へ |
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