《MUMEI》

『…初めまして……………。』



怯えるように、たどたどしく挨拶を交わす加奈子…。



猪俣は40歳前後の恐持てな風貌の男だった。



直美と一緒に住んでいるが、正式に籍を入れた訳ではないという。



その理由は、立ち入って訊かなくても何となく察しがつく…。



猪俣の二の腕には、曙柄の刺青が露になっていた。



まっとうな生き様を送る男でないことは加奈子もすぐに解った。



加奈子の脳裏に、かつて萩原の背中に彫り物を見たときの苦い思い出が蘇る…。

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