《MUMEI》

「ふぅ‥」





やっと1階のロビーについた。





待合室の本棚から、

数冊──

少女漫画を抜き出す。





それを脇に抱えて、

3階に戻った。





「那加、漫画──‥那加?」





ベッドにいたはずの、

那加の姿がない。





「那加、おい‥?」





またどっか行ったのか‥?





「わっ!」

「!?」





‥何が起きたのか分からない。





けど一瞬、

心臓が‥

飛び上がるかと思った。





「何‥だ‥?」





途端に、

鈴が鳴るような笑い声。





「引っ掛かった、引っ掛かった♪」

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