《MUMEI》

「引っ掛かっ‥た‥?」





後ろを振り向くと、

那加が面白そうに笑っていた。





「ふふっ、いないと思ったでしょ」





得意げに言って、

唖然とする俺から漫画を取る。





「でも、あんなにビックリするなんてね」

「那加、何で──」

「命令忘れたから」

「ぅ‥」





何だろう‥。





那加の背中に、

黒い翼があるみたいに見える‥。





「まぁ、今回だけは特別に許してあげる」

「恐れ入りマス‥」





命令は、

絶対だと‥

今更ながら思い知らされた俺だった。

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