《MUMEI》
重い
(俺には荷が重いよな〜)


祐も、高山家も、嫌いでは無い。


この不況だし、普通なら、『よろしくお願いします』と即答しても、おかしくは無い。


(でもなあ…)


「やっぱり…」

「どうした?祐也?」

「…重い…」


実際…


「離れろ!」


後ろから俺に覆い被さるように、寄りかかる祐は重かった。


「だって祐也全然食べて無いし!」


今は、庭でバーベキューの真っ最中だった。


そして…


「はい、食べて、祐也!」


志貴が持ってきた肉と野菜が盛られた皿も


「これも、祐也!」


柊が持ってきた魚介類が盛られた皿も


「あ、ありがとう…」


顔が引きつるほど、…重くて。


(も、ダメだ〜)


ケーキを前に、俺の胃は重く、限界を既に越えていた。


ちなみに、今日のケーキは

祐が、フルーツと生クリームたっぷりのケーキ


希先輩が、レアチーズケーキで


ケーキの上には、屋代さんが二人に初めて贈ったというぬいぐるみにそっくりな


青とピンクのクマ


が、乗っていた。





その、可愛いクマは


綺麗に、それぞれの胃袋に消えていて、俺はそれをただただ見ていた。

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