《MUMEI》
一番のプレゼント
「あ〜あ、ラブラブでいいよな!」


祐が羨ましそうに言った。


「葛西先輩からのプレゼントは?」

「毎年帰ってから!」


祐は、置いてあった缶を開け、中身を一気に飲み…


「マシャキのバカヤロー!」


と、叫んだ。





(『マシャキ』?)


俺は、祐が置いた缶を確認した。


「…ゲ…」


そこには、『これはお酒です』と書かれていた。


しかも…


(うわ、これも、…これも)


よく見れば、祐の近くには、デザインは違うが同じ注意書きの缶がいくつもあった。


「も〜!浮気してやる〜!!」

「えっ…ちょ!」


(俺に絡むな!)


祐は俺に抱きついてきた。


よく見ると、…俺以外は避難済みだった。


何故か、志貴も、柊も助けない。


「ン〜! 祐也〜!!」

「ちょ、…マジやめっ…」


絶対絶命の俺と、悪のりする祐に


「せっかく来たのに、浮気か?」


花火とプレゼントを抱えた葛西先輩が、微笑んでいた。


祐の酔いが一気にさめたのは、言うまでもない。


それから、俺達は、全員で花火を楽しんだ。

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