《MUMEI》

「へ〜。
クロも言うようになったじゃん。」


「そうか?
昔からクロはこんな調子だろ。」


黙って2度頷く翔太。


「で?
その策っていうのは?」


「…ルーズボール。」


「は?」


「それだけ?」


「今回の作戦に関してはそれが全てだよ。」


「まぁ…
大事といえば大事だけど…」


「うん。


実際あいつらの攻撃力は県内でも高いレベルになってきてると思うんだよね。


峰田なんかは特に伸びてるし。」


「はぁはぁ。
で?」


「となれば攻撃のチャンスを増やすにこしたことはないし、


何よりも秀皇の弱点を付ける。」


「秀皇の弱点?」


「そう。


秀皇はかなり固い守りと、


中に切り込もうとするアクティブな攻撃が凄い。


さすが強豪って感じだよね。


個々の能力も高いし。」


「じゃあ弱点ってなんなんですか?」


「それは、
ボールに対する執着心がないこと。」


「…なるほど。
考えたな。」


「だしょ?」

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