《MUMEI》

「那加、ただい‥」

「自分のご飯選ぶのに何分かかってるのよ」





案の定、

ご機嫌ナナメな姫サマ‥。





「一体何買って来‥、何それ」

「ゼリー飲料。ピーチ味の」

「何でピーチ?」

「お前も好きかな、って──」

「何で自分の好きなの選ばないのよ」

「何で、って──」





何でだろう。





何かを選ぶ時‥

基準は俺じゃなくて、

那加だ。





だから無意識に、

那加が好きそうな物を選ぶ。





それが、

当たり前なんだよな──‥。





「しょうがないな‥、ちょっとだけなら手伝ってあげる」

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