《MUMEI》 帰宅翌朝。 リビングで寝たから、厳と頼も寝坊はせず 葛西先輩がいたから、祐も、ちゃんと朝食に間に合った。 それから、別荘の掃除を全員でして、その日は大人しく帰る事になった。 (皆、忙しいしな) 子供組はともかく、大人組は明日から仕事なのだ。 「俺は暇だよ、祐也」 「あ、俺も!」 「俺は疲れた、休みたい」 アパートの前で車から降りようとした頼と柊を押し戻し、俺は部屋に戻った。 部屋に入る前、隣を見ると、さすがに屋代さんも疲れた顔をしていた。 そして、俺は (…? 何でだ?) 何故か、鍵の開いていたドアを開けた。 中は、出発前、カーテンを閉めたままだったから、薄暗かったが 部屋の真ん中にある存在感ありまくりの人物には、すぐに気付いた。 「…何してんだ? 忍」 声をかけても、忍はピクリとも動かなかった。 「暑くないか?」 室内はエアコンも付いておらず、蒸し暑いのに 忍は何故か、真っ黒なスーツを着ていた。 (初めて見るスーツだな) そう思いながら近付いた俺を 「うわ!?」 忍は、無言で抱き締めた。 前へ |次へ |
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