《MUMEI》

「‥あれ?」

本棚の周りを回ってたら、

壁際に置かれた本棚の側面に‥

何かが掘られてある事に気付いた。

「何だろ‥これ‥」

「どうした? 何か見つけたのか?」

「何か掘ってある」

「ん‥?」

先生は食い入るようにそれを見つめた。

「‥ぁ」

「何か知ってるの?」

「これ掘ったの──俺なんだよな」

「ぇ‥先生が掘ったの?」

「あはは、怒られたけどな」

「何でこんなとこに──」

「何だろ、自分がいた証──みたいなのを残しておきたくてさ」

「‥自分がいた‥証‥?」

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