《MUMEI》

「ぁぁ、ほら──よく学校の机とか壁とかに落書きしたりするのあるだろ?」

「ぁ‥うん」

「そんな感じでさ」

「へぇ‥」

そうなんだ‥。

「で、何て書いてあるの?」

「ん‥と──‥」

また、

それを食い入るように見つめる先生。

「『しろう』ってのは読めるけど‥後は読めなくなってるな‥」

「掠れちゃってる‥?」

「ぁぁ‥。でも確か‥その日の日付とかを掘った‥ような気はするけど──」

「日付?」

「ぁぁ、たぶんな──」

自分の名前が掘ってある所を撫でながら、

先生は何かを思い出してるみたいだった。

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