《MUMEI》 ぼんやりとしながら、 それを眺めていたら。 「ぇぃっ。──ほらっ」 いつの間にか、 那加はその花びらを掴まえていた。 「もっと飛んで来ないかな──」 那加は窓辺に立つと、 眩しそうにしながら、 手を目の前に掲げた。 「日向──何ぼんやりしてるの?」 「ぇ、ぁ‥悪い」 「ねぇ、日向もこっち来て」 「俺も‥?」 「いいから早く」 「───────」 言われるがまま、 那加の隣りに立つ。 「──ぁ」 この窓からは、 あの桜がよく見える。 すっかり、 忘れてたけど──。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |