《MUMEI》

ディンは名前を呼んでも揺すっても反応しない。ならば次は……

「ルキア。」

ヴァンはルキアを呼び寄せる。そして何やら伝えると、ルキアはディンの近くまで駆けて行った。

「えいっ!」「あぶっ!?」

ルキアは思い切りビンタを喰らわせた。思い切りとは言っても彼女の華奢な体では大した威力は出ない。だがディンを目覚めさせるには十分だった。

「ってぇ〜……何だぁ?」

「起きたか。」

ディンはヴァンを見るなり驚いた表情をしながら目を逸らし、逸らした先にルキアを見るとまた目を逸らした。

嫌な予感を感じつつヴァンは何事かと問う。

「あ、あんた……ロ、ロリ……いや! 趣味は人それぞれだからな、とやかく言ったりしねえよ、うん。」

ヴァンの予感通り盛大な勘違いをしているようだ。早く弁解せねば沽券に関わる。

だがまたもルキアの邪魔が入った。

「ろり……ってなに〜?」

ルキア……俺の様子を少しは察してくれ……

「お前はまだ知らなくていい。」

ヴァンはそう言ってルキアの件をあっさり処理し、弁解に移った。こういうのは間を開けるほど、強く否定するほどいけない。素早くほどほどにやらねば。

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