《MUMEI》 「ハイ‥その通りで」 「ふっ──ははっ」 「?」 「日向面白いっ」 「‥ぇ‥?」 えっと‥ 今のどこが面白かったんだろう‥? 「那加──えっ‥と‥」 「ね、そのグラス貸して?」 「ぇ」 訊き返すより先に、 那加の手は俺の手からグラスを取り上げて、 そこに何かを注いだ。 「那加──それ何だ‥?」 「ソーダ」 「ソーダ‥?」 「はいっ」 「俺に‥?」 「笑わせてくれたご褒美」 「ごほうび‥」 那加が、 俺に何かをくれるのは、 満足した時だ。 何だか、 無性に嬉しくなった。 前へ |次へ |
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