《MUMEI》

たとえそれが、

特別な想いでなかったとしても──

那加の側にいられるなら、

俺は嬉しい。





召使でも、

言いなりでも、

何だって構わない。





俺は、

那加の側にいたい──

ただ、

それだけ。





「──那加、買って来たぞ」

「遅いよ日向──‥」





那加は、

ベッドの上にいた。





ほっぺたを膨らませて、

ツン、

と顔を背ける。





「ほら、これ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「他の、買って来るか?」

「──ううん、これでいい」





那加は紙パックを受け取って、

ストローを差し込んだ。

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