《MUMEI》 変態発言「ちょ! 離せよ!」 俺は暴れたが、忍は俺を離そうとはせず グイッ 更に、体を密着させた。 「…祐也」 「何だよ」 いつもより低い、小さな忍の声に、少し焦りながら、俺は次の言葉を待った。 「そのまま… 俺の匂いをかげ」 … 「は!?」 (何言ってんだ!? コイツ!?) 「早くしろ」 「ぐぇ」 後頭部を掴まれ、首筋に押し付けられた。 …勢い余って、鼻と一緒に唇まで当たってしまった。 「言う通りにしないと、ずっとこのままだぞ?」 (それは、嫌だ!) 俺は言われた通りに、忍の首筋の匂いをかいだ。 (…あれ?) そこで、初めて気付いた。 普段、香水を付けない忍から 何か、変わった香がする事に。 「くすぐったい」 (自分から命令したクセに) 俺の頭を自分の目の前に移動させた忍を、俺は睨んだ。 相変わらず、俺達の距離は近かった。 「今もそうだが、最近お前は俺に対して怒ってばかりだな」 「忍が悪いんだろ。教えてくれないから」 おかげで俺は、皆の前で恥をかいてばかりだった。 前へ |次へ |
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