《MUMEI》

「ねぇ、あのさ‥」

「ん?」

「ドキドキとかってしないの?」

「ぇ?」

「手繋いだり、近付いたりした時、心臓ドキドキしたりしない?」

「どきどき‥する──かもなぁ」

「かもなぁ、って‥」

「お前はするのか?」

「そりゃ‥、てか気付いてないの?」

「いや、何か変だなぁ、とは思ったり──してたけど」

「───────」

先生って──

やっぱ‥

ある意味羨ましいかも‥。

「どきどきかぁ‥」

「好きな人の側にいてさ、そういう時──」

「ぁぁ──してた。そういえば」

先生は、

やっと思い出したみたいだった。

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