《MUMEI》

午後2時30分。





待合室で、

俺は那加の隣りに座っている。





那加はさっきから、

一言も喋らない。





緊張‥

しているんだと思う。





「那加」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「大丈夫だからな」

「‥分かってる」





那加は小さく、

そう答えた。





俺の手を、

ギュッと握って、

那加は唇を噛んでいる。




「霞さん、どうぞー」





先生が、

呼ぶ声。





「那加、行こう」

「───────」





那加は渋々、

立ち上がった。

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