《MUMEI》

「ぅわっ‥ちょっ‥先生揺れてるって‥!」

「中はそんなに深そうでもないから大丈夫だって」

「ぃゃ、そういう事じゃなくて‥」

てか、

このボート脆そうで恐いんですけど‥。

「!?」

何か今、

ガサッて‥。

「ん、どうした?」

「何か今音したじゃん‥」

「音?」

先生は気付いてなかったみたいで、

キョロキョロ辺りを見回してる。

「俺は何も聞こえなかったけどなぁ‥」

「ほんとにしたんだってば、音」

「分かった分かった、そうムキになるなって」

先生は呑気に言って、

オールを大きく漕いだ。

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