《MUMEI》

あれっきり、

物音はしなくて‥

ボートは洞窟の側に差し掛かった。

「おー、立派な洞窟だなぁ」

先生は、一旦漕ぐのを止めて洞窟を眺めた。

「何か中にいたりしてな」

「!?」

「ははっ、冗談冗談」

「笑えないんですけど‥」

あたし、

どっちかっていうと恐いし‥。

「先生、よく平気だよね──」

「好きなんだよなぁ、こういう感じのやつ」

「冒険小説みたいで?」

「ぁぁ、そんな感じがしてさ」

無邪気な、

笑顔。

何か、

可愛いって思った。

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