《MUMEI》
指輪
「お待たせ。」


急に、ビクターがでてきて、驚く。
彼は、小さな小箱を持っていた。


「・・・何、それ?」
「ん?・・・知りたい?」

ビクターは、照れたように咳払いする。
なんとなく、不安になった。


「もしかして?」
「・・・そう。」


小箱の中には、銀の指輪が入っていた。
ひとつ。ふたつ。


息が、つまる。


「俺とリリアも、もう3年だろ?そろそろ、な。
あんな事故があって、リリア、不安がってるし・・・。」


ビクターの声が、遠い。
そうか。結婚するのか。
誰が?
ビクターと、姉さんが?


「「おめでとう!」」


言わなくちゃ。
どうして?
僕はこんなに苦しいのに。悲しいのに。

だって、ビクターが。


結婚するんだ。


ビクターが。

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