《MUMEI》

「珊瑚礁の産卵って知ってる?」

「知らん。岩から生えてくるものじゃないの?」

「凄く綺麗だよ。そういう絵を描いたらいい。」

「アンタに私の絵をどうこう言われる筋合いは無い」

和成は苦虫を噛んだような顔になる。




高校から美術が選択授業になり、正直安心した。
一つ苦手な科目を選ぶとすれば迷わず美術だろう。


なづきは小さい頃から絵が綺麗だった。

上手いというよりも鮮やかな色たちが踊っているようであった。


他は人間関係さえ不器用だったが、子供心に彼女の才能を尊敬していた。

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