《MUMEI》
約束
一年前。
姉さんは、電車の事故で。ビクターの腕のなかで、天使になった。


事故は、両親も、姉さんも奪った。


「ふふ・・・。思い出した?」


じゃあ、ここはどこ?
僕は、死んだの?


「ううん。生きてるわ。事故にあって、体は昏睡状態なの。」


なんで・・・?


「もともと、あなたはまだ死なない予定だつたの。でも・・・あなたは、神様に殺してくれって頼んだ。」


ぼ・・・く?



「そう。あなたは、思い残すことは無い、と言った。でも・・・。」


姉さんは立ち上がって、歩きだす。


「私・・・あなたがビクターを好きだって、知ってたの。」


姉さんは、少女のように、笑う。


「初めて、二人を見たときに、気が付いたわ。」


そんなに、分かりやすかった?


「ええ。すぐに。
でも、私だって・・・。私だって、彼が好きだった。」




割り込んだのは、私の方。

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