《MUMEI》
吉野の作戦
元々、吉野は美少女としてそれなりに有名だった。


それに、吉野以外の一年の美少女達は、皆、夏休み前には決まった相手がいて、それを学校にいる誰もが知っていた。


だから、夏休み後。


『文化祭を、一緒に回りたい』


そんな想いから


吉野は大勢の男子生徒から、告白されていた。


(いやーあれはすごかったな)


数日前。


『まとめてお返事します』


そう言う吉野に付いていく行列は、今も全校生徒の記憶に新しかった。


そして、そこで言った


『ごめんなさい、私は、兄様が…

二年の小林守が好きなんです。

片想いで、今も、告白の返事待ちですが…』


という言葉は


翌日には、学校全体に広まっていた。


(それにしても、この状況って、守…
付き合う以外に選択肢ないんじゃないか?)


吉野をフッたら、守は…


(絶対気付いてないよな)


時々ため息をつく守を見ながら、俺はそう思った。


文化祭まで、あと、少し。


守が、吉野の策略?にはまるまでは、それより、またもう少し。

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