《MUMEI》
真実の目覚め
暖かい香りがする。
僕は、ゆっくりと体を起こした。
頭が、痛い。
ここはどこだろうと、周りを見渡すと、赤い薔薇が目に入った。


綺麗な薔薇。


「ディビット。」


名前を呼ばれて、振り向く。男が、座っていた。
黒い髪の、切れ長の目の男。


「・・・ビクター?」
「・・・そう。」


優しく微笑まれて。
ビクターの長い指が、僕の髪をなでる。





その腕に、抱きついて。

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