《MUMEI》

顔を上げた、

瞬間。





「ゎッ!?」





那加の膨れっ面が、

目の前。





「悪‥っ、いやスイマセンでしたっ‥」

「今度は何考えてたの?」

「ぃゃ、何‥も‥」

「〜〜〜〜〜〜‥」

「那加‥昔からこうだったな、って‥」

「ぇ?」

「2つの内1つを選ぶと、どっちかいい方をくれてたな、って」

「‥ぁ‥あれは‥ただおっきかったからあげただけっ」

「どっちも同じ位の大きさだったと思うけど──」

「ち・が・い・ま・す」

「ムキにならなくても‥ってぅわッ!?」





また枕が飛んで来た。





でも今度のは、

照れ隠しの為だったみたいだ。

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