《MUMEI》
Misson1
「やぁー!やっぱりきてくれたのか」

この人は恒松さん。私をここに呼びつけた本人だ。

「向こうに残る理由もなかったんで」

「大学に行かないでよかったの?」

「勉強することって必要不可欠なことですかね」


高校卒業と同時にイタリアに渡った。
ここはイタリアで大きく権力を振るうファミリー、
『α』である。


「私みたいな奴を使わないといけないほどαは落ちぶれたんですか」

「先代が亡くなって誰もまとめる奴がいなかったからね。君を呼んだってわけ」

「なるほど」




私は昔の記憶が一切ない孤児だった。
そんな私を拾って育ててくれた人は、かなりの大物だったらしくて。
私も彼からたくさんの教えを受け、今に至る。
こんな大きな組織に拾ってもらえるのはきっと彼のおかげだろう。



「準備は整ってるんですか?」

「きちんと言われたとおり、いらない物は切っていったよ。人数は少ないほうがいいって言ったろ?自分なりに必要な奴だけ残しておいた」

「上出来です」

必要な人数だけいればいいのは彼から教えてもらったこと。
あとは必要に応じてスカウトすればいいこと。


「まずは中に入ってよ。紹介したい奴だっているからさ。……これから、…よろしくな」



香織。



そう言って恒松さんは頭に置いた手をぐしゃぐしゃと掻き回した。


「な、なんなんすか」

「いやさ、俺も日本に残してきた家族がいるから。お前見てたらさ、撫でてやりたくて!」

「私もう18になるんですけど」

「お、俺だってまだ32だ!子どもはまだ小学生だし」

何というか、雰囲気らしい。
とりあえず、私はここでうまくやっていけそうだ。



(歓迎されてない訳じゃなかった)




「一年です」

「は?」

「一年もあればここはもっと大きくなりますよ」

「…頼もしいね」

「恒松さんは何を思って私を選んでくれたんすか?」

「香織じゃなきゃだめだと思ったんだよ」

「その期待に応えるって言ってんの」

「一年で?」

「一年で強くさせます。厳しいものになりそうですけどね」

「俺たちだって覚悟してるよ」



まだまだ私たちは始まったばかりだ。

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