《MUMEI》
無知は無垢
樹は普段通りの日々を手に入れた。
下手に干渉してはいけない
きっと、知ってしまえば終わってしまうものもある
時折、
若菜に猜疑心が募っても
アラタのふとした仕草に目を奪われても
何も聞こえないふりをする
「この間はごめんなさいね、急いでいたの」
優雅に井上美穂が闊歩した。
凜とした立ち姿は名画のワンシーンにも思えた。
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