《MUMEI》

後に知ったが井上美穂は才色兼備で、進学クラスでも群を抜いて優秀だそうだ。

一方、たまたま三年進学クラスの前の廊下を通り過ぎようとした樹は一身に三年の視線を浴びて居心地の悪さを覚えた。

「貴方、弓道部に入ればいいのに。」
弓道部なのだろう。
並ぶと彼女が長身であることを改めて認識した。

「それだけですか?」
反抗的な口ぶりだがいたたまれない思いでいっぱいだった。

「ええ、もう帰ってよろしいですよ。」
会話する度に変な緊張感が。

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